【福島・会津若松 × 日本酒】武士の誇りを酌む一献|鶴ヶ城と酒蔵を巡る“城下町旅”

🕓 2025/7/06
#日本酒

八百万の神が集う聖地で、清らかな湧水と縁結びの米が醸す出雲酒を堪能 

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 目次

  1. 鶴ヶ城と会津酒蔵で味わう日本酒とは
  2. 鶴ヶ城と会津酒蔵の「おすすめ酒蔵」
  3. 鶴ヶ城と会津酒蔵の「日本酒おすすめセレクション」
  4. 鶴ヶ城と会津酒蔵と酒蔵を巡「モデルコース」

はじめに

赤瓦の天守が空を映し、白雪を冠した磐梯山が遠景に抱かれる

――会津若松は、凛とした城郭の風格と米どころの滋味が交差する土地です。伏流水がもたらす絹のような軟らかさ、県オリジナル酒米が生む芯のある旨味、そして蔵人たちが磨き上げた技。

歴史の舞台・鶴ヶ城を起点に、城下町の石畳を辿りながら杯を重ねれば、一杯ごとに戊辰の記憶と四季の息吹がほどけていきます。

本稿では〈城・町・酒〉を一筆書きで結ぶモデルコースと、訪ね歩きたい蔵・銘酒を厳選。金賞日本一に輝いた“会津清酒”の今を、旅の序章としてご案内します。

 



1. 鶴ヶ城と会津酒蔵で味わう日本酒とは 

 1 | 会津で味わう日本酒とは

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会津の日本酒は、ひと口めに米のやさしい甘みがふわりと広がり、飲み込む瞬間には雪どけ水のようにすっと切れる──そんな「やわらかさ」と「キレ」の両方を備えています。

その秘密は三つあります。まず、飯豊山や磐梯山に降った雪が地下をゆっくりと巡ることで生まれる超軟水です。硬度が 0.8〜30 mg/L と非常に低く、穏やかな発酵を助けて絹のようになめらかな口当たりをもたらします。次に、福島県が開発した酒米「夢の香」と「福乃香」。夢の香は溶けやすく香りが出やすい米、福乃香は粒が大きく高い精米にも耐える米で、どちらも雑味のない澄んだ味わいを支えています。

最後に、バナナやメロンを思わせる甘い香りを生み出す「うつくしま夢酵母(F7-01)」が加わることで、飲みやすさと華やかさが両立するのです。こうした水・米・酵母の三拍子がそろった結果、福島県は 2025 年の全国新酒鑑評会で金賞蔵数日本一(16 蔵)を奪還し、その中心に会津の蔵元たちが名を連ねました。。

 

 2 | ハイカラさんバス&レンタサイクルで巡る城と蔵

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朝、赤瓦の鶴ヶ城天守を眺めたら、レンタサイクルで堀沿いをひと漕ぎ。城下の風を感じながら市内循環バス〈ハイカラさん〉で七日町へ向かいます。登録有形文化財〈嘉永蔵〉の蔵見学で山廃の香を楽しみ、併設カフェで大吟醸シフォンを味わったら、再び自転車にまたがり宮泉銘醸へ。

メロン香が爽やかな〈寫樂〉を試飲した後、路地を抜けて鶴乃江酒造へ足を延ばし、白桃の香りが広がる〈会津中将〉で締めくくります。夕刻は野口英世青春通りの角打ちで利き酒フライトを少しずつ。1日乗車券で宿までバスに揺られれば、歴史と地酒が溶け合う半日コースの余韻が静かに広がります。

 

 3 | “会津×南会津”協働醸造――GIと金賞蔵の底力

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会津若松の 12 蔵に加え、南会津4蔵は 2024 年 GI 指定を取得。原料米・水とも町内産に限定し、純米系のみ醸す“テロワール宣言”です。

GI 南会津認定酒のお披露目を兼ねた 南会津の地酒で乾杯!(6 月20 日)は、振舞い酒と限定Tシャツが話題。
城下では2月の 会津の新酒を楽しむ会、4月の ほまれ春の酒蔵祭り が恒例で、蔵元自らがサーブする“おらが酒”文化を体験できます。

こうした地域一体の磨き上げが、金賞受賞ラッシュを支える“会津清酒の底力”です。

項目 内容
所在地 福島県会津若松市・南会津町
主な観光地 鶴ヶ城、飯盛山(白虎隊墓所)、会津武家屋敷、七日町通り、野口英世青春通り
日本酒スポット 末廣酒造〈嘉永蔵:蔵見学+カフェ〉、宮泉銘醸〈寫樂〉、鶴乃江酒造〈会津中将〉、名倉山酒造〈月弓〉、会津清酒歴史館

 

現在観光地×日本酒サイトを立ち上げ中です。これまでになかった、欲しかった情報が手に入るサイトです。どんどんこれから情報を追加していきますので、ぜひブックマークください。

 

 

 
 
 


2. 鶴ヶ城と会津酒蔵の「おすすめ酒蔵」

飯豊 (いいで)・磐梯山系の雪解け水は長い歳月を経て伏流水となり、硬度 14–23 mg/L の“超軟水”として井戸に湧き上がります。静かな発酵を促すこの水に、福島県育成米 夢の香・福乃香、そして華やかな うつくしま夢酵母 (F7-01) が加わり、キレと米旨が両立する“会津清酒”が生まれます。

 1. 末廣酒造株式会社|登録有形文化財「嘉永蔵」で味わう山廃の底力
 
 

嘉永3年(1850)創業。鬼瓦を戴く木造三階蔵と煉瓦煙突が国の登録有形文化財に指定され、蔵内には五つの井戸から湧く超軟水がこんこんと流れます。

蔵は「 地酒三か条――①天然水  ②会津杜氏の匠  ③地元米 」を守り、昔ながらの手造り工程を残す〈嘉永蔵〉と、最新温度管理を備えた〈博士蔵〉を併設。山廃仕込みの主力銘柄〈末廣〉は、梨を思わせる酸と厚みのあるコクが特徴です。

無料見学は通常期1日6回(冬季3回)、NIKKEIプラスワンで「訪ねて楽しい蔵元」全国1位に選ばれた蔵喫茶杏では大吟醸シフォンと仕込み水コーヒーが人気。

 
項目 内容
正式名称 末廣酒造株式会社
創業年 1850 年
主な銘柄 末廣・嘉永蔵
見学 ○ 当日受付/冬季は1日3回
試飲 ○ 売店無料+蔵喫茶
直売所 会津若松市日新町12-38
アクセス JR只見線 七日町駅徒歩5分

 

 2. 宮泉銘醸株式会社|フルーティーな「寫樂」を生む革新蔵

宮泉銘醸株式会社|Sakenomy - 日本酒を知り、日本を知る出展:宮泉銘醸株式会社

昭和29年(1954)に花春酒造から分家独立。磐梯山伏流水は灘の宮水に近い中軟水で、フルーティーな香りを引き立てます。2007年に四代目・宮森義弘氏が製造責任者に就任すると、30代中心の若い蔵人とともに大規模な設備投資と温度管理の徹底を敢行。

旗艦ブランド〈寫樂〉はバナナやメロンの吟醸香とキレの良い甘みで国内外の品評会を席巻し、「最も入手困難な銘柄」の一つに。見学は休止中ですが売店では季節限定酒を無料試飲できます。

項目 内容
正式名称 宮泉銘醸株式会社
創業年 1955 年
主な銘柄 寫樂・会津宮泉
見学 × 実施なし
試飲 ○ 売店無料
直売所 会津若松市東栄町8-7
アクセス 会津若松駅→バス〈三の丁〉下車徒歩5分

 

 3. 鶴乃江酒造株式会社|母娘杜氏が紡ぐ「会津中将」と「ゆり」

出展:鶴乃江酒造株式会社

寛政6年(1794)創業。七日町通りの白壁蔵で、九代目蔵元・林ゆり杜氏と母の二人体制が“和醸良酒”を体現します。F7-01酵母と会津産米で仕込む〈会津中将〉は芯のある旨味ときれいな後口が身上。女性向けに開発した純米大吟醸〈ゆり〉は繊細な香味が評価され、IWCほか国際コンクールで受賞歴多数。

現在見学は休止中ですが、試飲カウンターでは定番から生酒まで日替わりで提供しています。

項目 内容
正式名称 鶴乃江酒造株式会社
創業年 1794 年
主な銘柄 会津中将・ゆり
見学 × 休止中
試飲 ○ 店頭無料
直売所 会津若松市七日町2-46
アクセス JR只見線 七日町駅徒歩5分

 

 4. 名倉山酒造株式会社|「きれいな甘さ」を追求する大正創業蔵

出展:名倉山酒造株式会社

大正7年(1918)創業。“きれいなあまさ”を蔵是に掲げ、地元契約農家の夢の香・福乃香を中心に醸造。自社井戸の超軟水と徹底した低温瓶貯蔵で雑味を抑え、まろやかな甘みと爽やかな酸を両立させています。

全国新酒鑑評会で11年連続、東北鑑評会で17年連続金賞という快挙を達成し、代表銘柄〈月弓〉はIWC純米部門トロフィーも獲得。蔵見学は予約制、平日9:00〜16:30に売店で無料試飲が可能です。

項目 内容
正式名称 名倉山酒造株式会社
創業年 1918 年
主な銘柄 名倉山・会津士魂
見学 × 実施なし
試飲 ○ 売店無料
直売所 会津若松市千石町2-46
アクセス 会津若松駅から車10分/市内循環バス〈会津若松合同庁舎前〉徒歩3分
 
 

 

 

 



3. 鶴ヶ城と会津酒の「日本酒おすすめセレクション」

磐梯山・飯豊連峰の花崗岩層をくぐった伏流水は 硬度 14 mg/L 前後の超軟水。発酵を穏やかに進め、絹のような舌ざわりを生みます。ここへ福島県オリジナル酒米 夢の香・福乃香 と吟醸香に優れる うつくしま夢酵母 F7-01 が加わり、半径20 km圏内に蔵が集積する“テロワール密集地”を形成しています。

 1. 末廣酒造〈嘉永蔵〉「伝承 山廃純米」|会津若松市日新町

嘉永蔵に伝わる“嘉儀式山廃”で仕込む定番酒。会津産五百万石を60 %まで磨き、櫂入れも最小限に抑えて自然の乳酸発酵に委ねます。プラムやカラメルを思わせる香りと、日本酒度 ±0・酸度 1.5前後の骨格ある旨酸が特徴。45 ℃のぬる燗で甘味と酸味が溶け合い、こづゆやニシン山椒漬けのコクをやさしく包み込みます。

項目 内容
種別 山廃特別純米(精米歩合60 %)
味わい プラム香/バランス型酸旨
飲み方 ぬる燗◎/常温○
相性料理 こづゆ、ニシン山椒漬け、馬刺し
どこで買える・飲める 嘉永蔵売店、七日町通りの酒店、会津若松市内居酒屋

 

 2. 宮泉銘醸「寫樂 純米吟醸 夏吟うすにごり」|会津若松市東栄町

麹米に山田錦、掛米に夢の香を使用し、瓶囲いで一本火入れ。メロンやライムの爽快なトップノート、ほんのりガス感のあるライトボディが夏の食卓を彩ります。冷酒でキレを楽しむもよし、軽くスワリングして香りを立ち上げても良し。夏野菜の天ぷらやアスパラの塩焼きと好相性です。

項目 内容
種別 純米吟醸 うすにごり(精米歩合50 %)
味わい メロン香/微ガス爽快
飲み方 冷酒◎
相性料理 夏野菜天ぷら、鮎塩焼き、冷しゃぶ
どこで買える・飲める 宮泉銘醸売店、特約酒販店、CRAFT SAKE WEEK 2025 出展蔵

 

 3. 鶴乃江酒造「会津中将 純米吟醸 夢の香」|会津若松市七日町

福島県産夢の香を55 %まで磨き、F7-01酵母で醸した“福島オールスター”の一本。白桃と白い花を思わせる穏やかな香り、シャープな酸が伸びやかな余韻を残します。冷酒から常温まで崩れず、アユの塩焼き会津山塩ラーメンと合わせれば後味をすっと切ってくれます。

項目 内容
種別 純米吟醸(精米歩合55 %)
味わい 白桃香/すっきり辛口
飲み方 冷酒◎/常温○
相性料理 鮎塩焼き、会津山塩ラーメン、天ぷら饅頭
どこで買える・飲める 蔵ショップ、会津若松駅みやげ館、市内割烹

 

 4. 名倉山酒造「月弓 かほり 純米吟醸」|会津若松市千石町

夢の香55 %精米。梨・白ブドウのアロマが立ち、口当たりはとろりと滑らか。“きれいな甘さ”を掲げる蔵らしく、日本酒度 -1・酸度 1.2が織りなす柔らかな甘酸が魅力です。10 ℃以下に冷やして 塩ヨーグルトチキンクリームチーズ味噌漬けと。

項目 内容
種別 純米吟醸(精米歩合55 %)
味わい 梨・白ブドウ香/やや甘口
飲み方 冷酒◎/冷や○
相性料理 クリームチーズ味噌漬け、塩ヨーグルトチキン、秋刀魚柚庵焼き
どこで買える・飲める 名倉山蔵売店、オンライン〈ROJI〉、市内バー

 

 5. 高橋庄作酒造店「会津娘 穣 花坂境22 2025」|会津若松市門田町

“一田一醸”を掲げ、田んぼ単位で仕込む限定シリーズ。2025ヴィンテージは花坂境22区画産五百万石55 %精米。マスカットや白桃の香り、みずみずしい酸とほのかな苦味がリズミカルに広がります。12 ℃の冷酒で川鱒の塩焼き、少し温度を上げて山菜天ぷらと合わせるとテロワールの妙味が際立ちます。

項目 内容
種別 純米吟醸(精米歩合55 %)
味わい マスカット香/軽快甘酸
飲み方 冷酒◎/花冷え○
相性料理 川鱒塩焼き、山菜天ぷら、とうもろこし揚げ
どこで買える・飲める 蔵オンライン限定、市内特約店、百貨店催事

 

 

 



4. 鶴ヶ城と会津酒蔵を巡る「モデルコース」

磐梯山・飯豊連峰の伏流水(硬度 14 mg/L 前後)のやわらかな口当たりに、福島県育成米 夢の香福乃香と吟醸香に優れる うつくしま夢酵母 F7-01 が重なり、会津若松市には半径 20 km 弱に蔵と史跡が凝縮。“バス+徒歩+レンタサイクル”だけで「城・武家文化・地酒」を一筆書きでつなげられるのが会津テロワール最大の魅力です。

 ①|鶴ヶ城と七日町蔵めぐり 史跡&テイスティング半日コース

🕒 所要 約 4.5 h | 🧭 難易度 ★★☆ (石段+舗装路) | 🍶 試飲めやす 2 ヵ所

ハイカラさん|市内の移動手段|会津若松の公式観光情報サイト【会津若松観光ナビ】

鶴ヶ城の天守を見学したら、市内循環バス〈ハイカラさん〉で七日町へ。登録有形文化財「嘉永蔵」で山廃仕込みを学び、七日町通りの古民家カフェで郷土料理ランチ。午後はフラッグシップ〈寫樂〉のショップで限定酒を試し、駅前でみやげ探し――“城と酒”を半日で体感できる入門コースです。

時間帯 スポット & 体験内容
09:00 JR会津若松駅 → 市内循環バス〈ハイカラさん〉で鶴ヶ城入口(約15 分)
09:20 鶴ヶ城天守閣・茶室麟閣を見学(約80 分)
10:50 バスで七日町通りへ(約10 分)
11:05 末廣酒造 嘉永蔵 毎時00分開始の無料蔵ツアー+利き酒(約45 分)
12:00 七日町通りのレトロカフェで〈こづゆ〉&蔵元スイーツの軽昼食(約40 分)
12:50 宮泉銘醸 ショップ 〈寫樂〉新酒試飲・限定酒購入(滞在30 分)
13:30 七日町駅からJR只見線で会津若松駅へ戻り(3 分)
13:40 駅構内みやげ館で「飲み比べミニボトル」購入・解散

 

 ②|城下町&郊外四蔵はしご 蔵と史跡フルコース

🕒 所要 約 7 h | 🧭 難易度 ★★☆ (徒歩+バス+短距離タクシー) | 🍶 試飲めやす 3–4 蔵

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午前は鶴ヶ城と七日町の 2 蔵、午後は郊外の 名倉山 と Nagurayama をハシゴ。最後は白虎隊ゆかりの飯盛山で夕景を眺め、郷土料理店で“会津四蔵飲み比べセット”で締める“酒好き欲張りコース”です。蔵の試飲受付は 16 時半ごろまでなので、午後はタクシーを 1〜2 区間挟むと時間にゆとりが生まれます。

時間帯 スポット & 体験内容
09:00 JR会津若松駅 → バス〈ハイカラさん〉で鶴ヶ城入口
09:15 鶴ヶ城天守閣見学(~10:30)
10:40 末廣酒造 嘉永蔵 蔵ツアー+利き酒(~11:30)
11:40 宮泉銘醸ショップで〈寫樂〉試飲(~12:10)
12:20 七日町通りで〈ソースかつ丼〉ランチ(約40 分)
13:10 タクシー10 分 → 名倉山酒造 無料試飲(~14:20)
14:20 路線バス15 分 → 飯盛山 白虎隊墓所とさざえ堂を参拝(~15:50)
16:05 バス10 分 → 東山温泉街・郷土料理店で「会津四蔵飲み比べセット」と馬刺しで乾杯

 

 



 さいごに 

会津の酒は、城下に息づく歴史と雪国の恵みが織りなす“飲む文化財”です。やわらかな伏流水、県産酒米、丁寧な手仕事が重なり、杯を重ねるほどに土地の温度と人の息遣いが伝わってきます。本記事を携えて鶴ヶ城を歩き、七日町で蔵を巡り、夕餉に郷土料理とともに盃を傾ければ、旅は忘れがたい物語になるはず。季節ごとに表情を変える会津清酒の世界へ、どうぞ心ゆくまで踏み込んでみてください。