【福島・会津若松 × 日本酒】武士の誇りを酌む一献|鶴ヶ城と酒蔵を巡る“城下町旅”

【福島・会津若松 × 日本酒】武士の誇りを酌む一献|鶴ヶ城と酒蔵を巡る“城下町旅”

鶴ヶ城の城下町で、会津盆地の水と米が醸す会津の地酒を堪能 

2-Jul-05-2025-05-02-40-3702-PM
 目次

  1. 鶴ヶ城と会津酒蔵で味わう日本酒とは
  2. 鶴ヶ城と会津酒蔵の「おすすめ酒蔵」

はじめに

赤瓦の天守が空を映し、白雪を冠した磐梯山が遠景に抱かれる

――会津若松は、凛とした城郭の風格と米どころの滋味が交差する土地です。伏流水がもたらす絹のような軟らかさ、県オリジナル酒米が生む芯のある旨味、そして蔵人たちが磨き上げた技。

歴史の舞台・鶴ヶ城を起点に、城下町の石畳を辿りながら杯を重ねれば、一杯ごとに戊辰の記憶と四季の息吹がほどけていきます。

本稿では〈城・町・酒〉を一筆書きで結ぶモデルコースと、訪ね歩きたい蔵・銘酒を厳選。金賞受賞数で全国上位を誇る福島県の中でも、“会津清酒”の今を、旅の序章としてご案内します。

 



鶴ヶ城と会津酒蔵で味わう日本酒とは

 1 | 会津で味わう日本酒とは

2 (1)

会津の日本酒は、ひと口めに米のやさしい甘みがふわりと広がり、飲み込む瞬間には雪どけ水のようにすっと切れる──そんな「やわらかさ」と「キレ」の両方を備えています。

その秘密は三つあります。まず、飯豊山や磐梯山に降った雪が地下をゆっくりと巡ることで生まれる超軟水です。硬度の低い軟らかな水が多く、穏やかな発酵を助けて絹のようになめらかな口当たりをもたらします。次に、福島県が開発した酒米「夢の香」と「福乃香」。夢の香は溶けやすく香りが出やすい米、福乃香は粒が大きく高い精米にも耐える米で、どちらも雑味のない澄んだ味わいを支えています。

最後に、バナナやメロンを思わせる甘い香りを生み出す「うつくしま夢酵母(F7-01)」が加わることで、飲みやすさと華やかさが両立するのです。こうした水・米・酵母の三拍子がそろった結果、福島県は2025年(令和6酒造年度)の全国新酒鑑評会で金賞受賞数16と、兵庫県と並ぶ全国1位に3年ぶりに返り咲きました。

 

 2 | ハイカラさんバス&レンタサイクルで巡る城と蔵

1-Jul-05-2025-05-07-00-4462-PM

朝、赤瓦の鶴ヶ城天守を眺めたら、レンタサイクルで堀沿いをひと漕ぎ。城下の風を感じながら市内循環バス〈ハイカラさん〉で七日町へ向かいます。登録有形文化財〈嘉永蔵〉の蔵見学で山廃の香を楽しみ、併設カフェで大吟醸シフォンを味わったら、再び自転車にまたがり宮泉銘醸へ。

メロン香が爽やかな〈寫樂〉を試飲した後、路地を抜けて鶴乃江酒造へ足を延ばし、白桃の香りが広がる〈会津中将〉で締めくくります。夕刻は野口英世青春通り周辺の酒販店や飲食店で地酒の飲み比べを。1日乗車券で宿までバスに揺られれば、歴史と地酒が溶け合う半日コースの余韻が静かに広がります。

 3 | 会津の金賞蔵と、隣町に生まれた“GI南会津”

3-Jul-05-2025-05-07-00-4458-PM

会津若松市の南に位置する南会津町では、2024 年8 月に清酒の地理的表示「GI南会津」が指定されました(福島県内初)。産地の範囲は南会津町のみで、町内産の米と町内で採水した水だけを使い、アルコールや糖類を加えない特定名称酒であることなどが基準です。会津若松の酒とあわせて、会津地方の多彩な地酒を飲み比べるのもおすすめです。

南会津町では「南会津の地酒で乾杯!」が開かれ(2025年は6月20日)、GI南会津認定酒などが振る舞われました(最新情報は公式サイトで確認)。
会津若松では例年2月に「会津の新酒を楽しむ会」、喜多方市のほまれ酒造では例年4月に「春の酒蔵祭り」が開かれるのが恒例で、蔵元自らがサーブする“おらが酒”文化を体験できます。

こうした地域一体の取り組みが、“会津清酒の底力”を支えています。

項目内容
所在地福島県会津若松市・南会津町
主な観光地鶴ヶ城、飯盛山(白虎隊墓所)、会津武家屋敷、七日町通り、野口英世青春通り
日本酒スポット末廣酒造〈嘉永蔵:蔵見学+カフェ〉、宮泉銘醸〈寫樂〉、鶴乃江酒造〈会津中将〉、名倉山酒造〈月弓〉

 

 

 

 
 
 



鶴ヶ城と会津酒蔵の「おすすめ酒蔵」

飯豊 (いいで)・磐梯山系の雪解け水は長い歳月を経て伏流水となり、軟らかな水として各蔵の井戸に湧き上がります。静かな発酵を促すこの水に、福島県育成米 夢の香・福乃香、そして華やかな うつくしま夢酵母 (F7-01) が加わり、キレと米旨が両立する“会津清酒”が生まれます。

 1. 末廣酒造株式会社|登録有形文化財「嘉永蔵」で味わう山廃の底力

嘉永3年(1850)創業。2018年には明治〜昭和初期に建てられた蔵や煉瓦煙突など9件の建造物が国の登録有形文化財に登録されています。

蔵は「 地酒三か条――①天然水  ②会津杜氏の匠  ③地元米 」を守り、昔ながらの手造り工程を残す〈嘉永蔵〉と、近代的な設備を備えた〈博士蔵〉の二つの蔵を持ちます。山廃仕込みの主力銘柄〈末廣〉は、梨を思わせる酸と厚みのあるコクが特徴です。

無料見学は10時から1時間ごと(12時を除く・冬期は変更あり)。2013年にNIKKEIプラスワン「訪ねて楽しい日本酒の蔵元」で全国1位に選ばれた蔵で、併設の蔵喫茶杏では大吟醸シフォンと仕込み水コーヒーが人気。

 
項目内容
正式名称末廣酒造株式会社
創業年1850 年
主な銘柄末廣・嘉永蔵
見学○ 無料(10名以上は要予約・冬期は時間変更あり)
試飲○ 売店無料+蔵喫茶
直売所会津若松市日新町12-38
アクセスまちなか周遊バス〈ハイカラさん〉七日町中央バス停から徒歩5分

 2. 宮泉銘醸株式会社|フルーティーな「寫樂」を生む革新蔵

昭和30年(1955)に花春酒造から分家して創業。仕込みには会津盆地を潤す豊かな湧き水を用いています。四代目・宮森義弘氏が蔵に戻って酒造りと製造環境を一から見直し、2007年に〈寫樂〉を発売。

旗艦ブランド〈寫樂〉はバナナやメロンの吟醸香とキレの良い甘みでSAKE COMPETITION純米酒部門1位などの受賞を重ね、入手困難な人気銘柄の一つに。酒蔵見学は行っていませんが、売店では試飲ができます(最新情報は公式サイトで確認)。

項目内容
正式名称宮泉銘醸株式会社
創業年1955 年
主な銘柄寫樂・会津宮泉
見学× 実施なし
試飲○ 売店無料
直売所会津若松市東栄町8-7
アクセス会津若松駅→バス〈三の丁〉下車徒歩5分

 

 3. 鶴乃江酒造株式会社|母娘杜氏が紡ぐ「会津中将」と「ゆり」

出典:鶴乃江酒造株式会社

寛政6年(1794)創業。七日町通りの白壁蔵で、蔵元の長女・林ゆり杜氏が、母・恵子さんとともに“和醸良酒”の酒造りを受け継いでいます。F7-01酵母と会津産米で仕込む〈会津中将〉は芯のある旨味ときれいな後口が身上。女性向けに開発した純米大吟醸〈ゆり〉は繊細な香味で人気を集めています。

見学の可否は公式サイトでご確認ください。店頭では常時試飲ができます(試飲・販売 9:00〜18:00)。

項目内容
正式名称鶴乃江酒造株式会社
創業年1794 年
主な銘柄会津中将・ゆり
見学要確認(公式サイトで確認)
試飲○ 店頭無料
直売所会津若松市七日町2-46
アクセスJR只見線 七日町駅徒歩5分

 4. 名倉山酒造株式会社|「きれいな甘さ」を追求する大正創業蔵

大正7年(1918)創業。“きれいなあまさ”を蔵是に掲げ、地元契約農家の夢の香・福乃香を中心に醸造。自社井戸の超軟水と徹底した低温瓶貯蔵で雑味を抑え、まろやかな甘みと爽やかな酸を両立させています。

全国新酒鑑評会や東北清酒鑑評会で連続金賞の実績を持ち、代表銘柄〈月弓〉はIWC2018純米部門でトロフィーを獲得。酒蔵見学は実施しておらず、受付時間は平日9:00〜16:30です(試飲の可否は公式サイトで確認)。

項目内容
正式名称名倉山酒造株式会社
創業年1918 年
主な銘柄名倉山・会津士魂
見学× 実施なし
試飲要確認(公式サイトで確認)
直売所会津若松市千石町2-46
アクセス会津若松駅から車約10分(バスでのアクセスは公式サイトで確認)
 
 

よくある質問

1

A.会津地方は飯豊山系の良質な伏流水と寒冷な気候が酒造りに最適で、江戸時代から続く蔵元も少なくありません。福島県は全国新酒鑑評会の金賞受賞数で全国上位の常連で(2025年は兵庫県と並ぶ全国1位)、会津の蔵元もその一翼を担っています。
2

A.「飛露喜」「寫楽」「会津中将」「末廣」「栄川」が人気銘柄です。特に「飛露喜」は入手困難な銘酒として知られ、「寫樂」は純米吟醸がフルーティーな味わいで人気があります。
3

A.会津若松市内の「末廣酒造嘉永蔵」は無料で蔵見学と試飲ができ、明治期の建物を含む蔵(国の登録有形文化財)が見どころです。
4

A.会津若松市の「會津酒楽館 渡辺宗太商店」では会津の地酒を豊富にそろえ、試飲しながら選べます(内容は店舗で確認)。七日町通りの酒店や居酒屋でも地酒の飲み比べを提供している店があります。
5

A.七日町通りの「会津ブランド館」や周辺の酒販店が品揃え豊富です。「末廣酒造嘉永蔵」の直売所では蔵限定酒も購入可能です。日本酒は1本(720ml)1,200〜3,000円程度で、飛行機の場合は手荷物での持ち込みが安心です。