
運河と石造倉庫を歩き、地酒を味わう小樽旅

目次
はじめに
北の港町・小樽。運河沿いに石造倉庫が並ぶ景観は、かつて海産物や石炭の取引で賑わった“北の商都”の面影を今に伝えています。この記事では、次の内容をまとめました。
- 田中酒造の見学・試飲と主な銘柄
- 堺町通りや小樽駅前で地酒を買える店・飲める店
石造倉庫と酒蔵を歩く半日コースから、余市のウイスキー・ワインまで足を延ばす1日コースまで、3つのモデルコースも紹介します。
1. 小樽でつくる日本酒とは
港町の歴史を伝える小樽運河
石造倉庫が水面に映る小樽運河は、大正12年(1923年)に完成しました。はしけで荷揚げをするために海岸の沖合を埋め立てて造られたため、内陸を掘り込んだ運河とは違い、ゆるやかに湾曲しているのが特徴です。石炭や海産物の積み出しで栄えた港町の歴史を、今に伝えています。
1 | 天狗山の伏流水で一年中仕込む酒蔵

小樽で唯一の造り酒屋「田中酒造」は、天狗山の雪解け水が長い年月をかけて伏流水になったものを、地下約70mから汲み上げて仕込み水にしています。北海道の冷涼な気候を生かして一年を通して仕込む「四季醸造」を行い、原料の酒造好適米は100%北海道産(彗星を中心に、酒ごとに使い分け)です。
2 | 運河周辺で地酒に出会える場所

運河周辺では、ガラス越しに製造場を見学できる〈田中酒造 亀甲蔵〉、昭和2年(1927年)建築の店舗で試飲ができる〈田中酒造 本店〉、北海道各地の地酒を扱う〈北一硝子 地酒屋北一〉、小樽駅前の角打ち〈銘酒角打ちセンターたかの〉などで地酒を楽しめます。田中酒造では、四季醸造の蔵ならではの「純米しぼりたて生原酒」や、亀甲蔵・本店それぞれの限定酒も扱っています。
3 | 代表銘柄「宝川」と季節の酒

田中酒造の代表銘柄「宝川」は、純米酒から純米大吟醸酒までそろい、好みや贈答などの用途に合わせて選べます。2016年には北海道産米100%の新ブランド「北の一星」も誕生しました。夏季限定の純米吟醸「藍酒」、純米大吟醸「雪あかり」、ミズナラの木樽で貯蔵した「Smoky純米酒」など、限定酒も多彩です。
【 小樽運河エリア 概要情報 】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 北海道小樽市(運河沿い:色内~堺町周辺) |
| アクセス | JR南小樽駅から徒歩約5分(亀甲蔵)/JR小樽駅から徒歩10分(本店・運河) |
| 主な観光地 | 小樽運河、旧日本郵船小樽支店、北一硝子三号館、小樽オルゴール堂、天狗山ロープウェイ |
| 日本酒スポット | 田中酒造〈亀甲蔵・本店〉、北一硝子 地酒屋北一、銘酒角打ちセンターたかの、らく天、~和Dining~颯楽 など |
| イベント情報 | 田中酒造「おたる甘酒まつり」(本店・6〜7月)、おたる梅酒祭り(春)、小樽雪あかりの路(2月) |
2. 小樽運河周辺の「おすすめ酒蔵」
運河散策の途中に立ち寄れる2軒
小樽運河の周辺には、散策の途中に立ち寄れる日本酒スポットがあります。ここでは、酒蔵の田中酒造 亀甲蔵と、地酒専門店の北一硝子 地酒屋北一を紹介します。
1. 田中酒造 亀甲蔵|小樽で唯一の造り酒屋の製造場
〈亀甲蔵(きっこうぐら)〉は、明治38年(1905年)ごろに建てられた石造倉庫群を生かした製造場で、小樽市の歴史的建造物に指定されています。天狗山の伏流水と北海道産の酒造好適米で、一年を通して酒を仕込む「四季醸造」を行っています。蔵元によると、四季醸造の酒蔵は全国的にも珍しいそうです。
製造場は年中無休・無料で見学でき(見学可能時間 9:05〜17:30、所要10〜15分)、見学後は「純米しぼりたて生原酒」など日本酒・リキュール約10種を無料で試飲できます(2026年9月時点)。10名以上で見学する場合は事前予約が必要です。車などを運転する人と20歳未満の人は試飲できません。JR南小樽駅から徒歩約5分です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 田中酒造株式会社 亀甲蔵 |
| 創業年 | 1899 年(明治 32 年) |
| 主な銘柄 | 宝川(純米・純米吟醸・純米大吟醸)、北の一星、季節限定酒、スパークリング日本酒 ほか |
| 見学 | 〇(無料・ガラス越し、所要 10〜15 分) |
| 試飲 | 〇(無料/約10種) |
| 直売所 | あり(限定酒・酒粕・甘酒・リキュール・酒まんじゅう等) |
| アクセス | JR 南小樽駅 徒歩約5分/小樽運河浅草橋から徒歩約15 分 |
2. 北一硝子 地酒屋北一|北海道の地酒とガラスの酒器を選べる店
堺町通りにある北一硝子の地酒専門店です。北海道各地の地酒をそろえ、小樽市内の酒蔵の酒や、この店でしか買えない酒も扱っています。ガラス工芸の店らしく、吹きガラスの酒器と一緒に選べます。
一部の商品は試飲販売をしており、相談しながら好みの一本を選べます(実施状況は店頭で確認を)。運河から近いので、散策の途中に立ち寄れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社 北一硝子 地酒屋北一 |
| 創業年 | 1901 年(明治 34 年)※北一硝子創業年 |
| 主な取り扱い | 北海道各地の清酒・焼酎・ワイン・ウイスキー、小樽市内の酒蔵の酒、店舗限定酒、オリジナル酒器 |
| 見学 | ×(ショップのみ) |
| 試飲 | 〇(一部商品で試飲販売・実施状況は店頭で確認) |
| 直売所 | あり(限定酒・酒器・北海道グルメ) |
| アクセス | 堺町通り沿い(小樽市堺町7-20)/JR 南小樽駅 徒歩約10 分 |
3. 小樽運河周辺の「日本酒おすすめセレクション」
小樽運河散策とあわせて味わいたい酒
田中酒造の2本に加え、後志・留萌・札幌の蔵から3本を選びました。仕様は各蔵元・販売店の公表情報にもとづき、相性料理は編集部からの提案です。
1. 宝川 しずく斗瓶取り 純米大吟醸|田中酒造
北海道産米を40%まで磨いた純米大吟醸で、もろみを入れた酒袋を吊るし、自然に滴り落ちる雫だけをガラスの斗瓶に集めています。蔵元は「甘く華やかな香りと、柔らかく繊細な味わい」と紹介しています。90本限定の販売なので、購入できるかは蔵元に確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 純米大吟醸(40 %精米・しずく採り) |
| 味わい | 甘く華やかな香り、柔らかく繊細な味わい(蔵元説明) |
| 飲み方 | 冷酒 ◎/常温 ○ |
| 相性料理 | 帆立のカルパッチョ、生ハム&メロン、カマンベール |
| どこで買える・飲める | 田中酒造(数量限定・在庫は蔵元に確認) |
2. 北の一星 純米吟醸|田中酒造
北海道産米を60%まで磨き、小樽の伏流水で仕込んだ純米吟醸酒。蔵元は吟醸香とお米の旨味が調和した味わいと紹介し、冷やすか常温で飲むことを勧めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 純米吟醸 |
| 味わい | 吟醸香と米の旨味の調和(蔵元説明) |
| 飲み方 | 冷酒 ◎/常温 ◎ |
| 相性料理 | 鰊の塩焼き、タラバ蟹、塩ザンギ |
| どこで買える・飲める | 田中酒造各店/北一硝子 地酒屋北一/銘酒角打ちセンターたかの |
3. 二世古 特別純米 彗星|二世古酒造
羊蹄山の湧水で仕込む、後志(しりべし)エリア・倶知安町の蔵。羊蹄山麓で栽培された酒造好適米〈彗星〉を60%まで磨いた特別純米酒で、清涼感のある比較的淡麗な辛口です。道内の特定の酒販店を中心に流通しており、ニセコエリア(倶知安)の土産にもなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 特別純米(彗星・精米歩合60 %) |
| 味わい | 清涼感のある淡麗辛口、フレッシュな味わい |
| 飲み方 | 冷酒 ◎/常温 ○ |
| 相性料理 | サーモンルイベ、ラクレットチーズ、山わさびステーキ |
| どこで買える・飲める | 道内の特約酒販店(取扱いは各店で確認) |
4. 国稀 特別純米酒|国稀酒造
日本海に面した港町・増毛(ましけ)の老舗蔵。酒造好適米〈五百万石〉を100%使った特別純米酒です。小樽の海鮮丼や鰊漬けと合わせるのもおすすめです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 特別純米 |
| 味わい | まろやかな旨み、穏やかな香り、後味スッキリ辛口 |
| 飲み方 | 冷酒 ○/常温 ◎/ぬる燗 ◎ |
| 相性料理 | ニシン甘露煮、数の子松前漬け、ホッケ開き |
| どこで買える・飲める | 地酒屋北一/花園エリアの居酒屋/小樽市内酒店 |
5. 千歳鶴 本醸造 なまら超辛|日本清酒
「なまら」は北海道の方言で「とても」という意味。札幌の蔵・日本清酒が造る辛口の本醸造で、辛口好きの人に向く一本です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 本醸造 |
| 味わい | 超辛口・ドライ、爽快な切れ味、ほのかな米旨 |
| 飲み方 | 冷酒 ◎/常温 ○ |
| 相性料理 | 牡蠣フライ、イカ塩辛、塩ラーメン |
| どこで買える・飲める | 銘酒角打ちセンターたかの/小樽・札幌の特約酒販店 |
4. 小樽運河と酒蔵を巡る「モデルコース」
旅のスタイルで選べる3コース
小樽運河の周辺は見どころがまとまっているので、半日でも1日でもコースを組みやすいのが特徴です。ここでは旅のスタイルに合わせた3つのモデルコースを紹介します。
①|運河と石造倉庫を歩く 定番さんぽ&利き酒コース
🕒 所要時間:約 4 〜 5 時間 | 🧭 難易度:★☆☆ | 🍶 試飲数の目安:2ヵ所
半日で小樽の定番スポットを回るルート。

田中酒造〈亀甲蔵〉で製造場を見学し、無料で試飲。運河沿いの石造倉庫群を散策して、昼は海鮮丼や小樽ビールで食事を。午後は堺町通りの北一硝子で、道産酒と酒器を選びながら買い物を楽しむコースです。
| 時間帯 | 行程内容 |
|---|---|
| 9:30 – 10:00 | JR南小樽駅 到着 → 石造りの街並みを散策しつつ〈田中酒造 亀甲蔵〉へ移動(徒歩5分) |
| 10:00 – 11:00 | 亀甲蔵で醸造見学(無料)+「宝川」など約10種を試飲/限定酒や酒まんじゅうを購入 |
| 11:00 – 12:00 | 小樽運河沿いへ徒歩移動 → 浅草橋・中央橋で写真撮影、レンガ倉庫群を見学 |
| 12:00 – 13:00 | 運河沿いレストランでランチ(海鮮丼/小樽ビール倉庫No.1 など) |
| 13:00 – 13:30 | 堺町通りを散策しながら〈北一硝子 地酒屋北一〉へ |
| 13:30 – 14:00 | 地酒屋北一で道産酒の試飲(一部商品)&吹きガラス酒器ショッピング |
| 14:00 – | 近隣でお土産買い物(ルタオ本店・オルゴール堂 等)→ 運河ターミナルからバス or 徒歩で小樽駅へ |
②|小樽+余市 酒蔵・ウイスキー蒸溜所・ワイナリーを巡るコース
🕒 所要時間:約 7 〜 8 時間 | 🧭 難易度:★★☆ | 🍶 試飲数の目安:2ヵ所+α
小樽と余市で、日本酒・ウイスキー・ワインを1日で楽しむプラン。
午前は小樽で田中酒造と北一硝子を訪ね、道産酒を飲み比べ。昼前にJRで余市へ移動し、ニッカウヰスキー余市蒸溜所で石炭直火蒸溜の設備を見学してウイスキーを試飲します(見学ツアーは要予約)。午後はタクシーで余市のワイナリーへ向かい、テイスティングを楽しみます。試飲後の自転車の運転は飲酒運転になるので避けてください。
| 時間帯 | 行程内容 |
|---|---|
| 9:00 – 10:00 | JR南小樽駅 → 田中酒造 亀甲蔵で見学&試飲 |
| 10:00 – 11:00 | 運河散策(浅草橋 → 堺町通り)/北一硝子 地酒屋北一で利き酒 |
| 11:10 – 11:40 | JR小樽駅 発 → JR函館本線で余市駅へ(約 25 分) |
| 11:45 – 13:15 | ニッカウヰスキー余市蒸溜所 見学ツアー(要予約)+ウイスキー試飲、余市市街でランチ |
| 13:30 – 15:00 | タクシーで〈OcciGabi Winery〉など余市のワイナリーへ移動 → ワインテイスティング(試飲後の自転車運転は飲酒運転になるため不可) |
| 15:15 – 15:45 | 余市駅へ戻り土産購入(アップルパイ等) |
| 15:45 – 16:15 | JR 余市駅 発 → 小樽駅/札幌方面へ帰路 |
③|運河沿いで“ちょい飲み”! 気軽に楽しむ利き酒ライトプラン
🕒 所要時間:約 2 〜 3 時間 | 🧭 難易度:★☆☆ | 🍶 試飲数の目安:2ヵ所+食べ歩き
時間が限られる人向けの短時間コース。
運河を撮影したあと、堺町通りの北一硝子で季節の道産酒を試飲し(一部商品)、お猪口を選びます。夕方は小樽駅前の銘酒角打ちセンターたかので、ザンギなどのつまみと一緒に北海道の酒を一杯。2時間前後で回れるので、札幌や空港へ移動する前にも組み込みやすいコースです。
| 時間帯 | 行程内容 |
|---|---|
| 任意 | 小樽運河撮影 → 堺町通りへ |
| 15:00 – 15:40 | 北一硝子 地酒屋北一で季節の道産酒を試飲(一部商品)&“お猪口”土産選び |
| 16:00 – 16:40 | 銘酒角打ちセンターたかの(JR小樽駅前・営業時間は事前に確認)へ移動 → 北海道の銘酒を1杯+ザンギなどおつまみ |
| 16:40 – 17:20 | 小樽駅周辺で食べ歩き(若鶏半身揚げ〈なると〉、館ブランジェ〈パンロール〉など) |
| 17:20 – | JR 小樽駅から列車で札幌/新千歳空港へ、または運河夕景撮影へ延長も可 |
さいごに
小樽では、四季醸造の田中酒造で造りたての酒を味わい、北一硝子で道産酒と酒器を選び、駅前の角打ちで北海道の酒を一杯楽しめます。
見学時間や営業時間、限定酒の在庫は変わることがあるので、出かける前に各店舗の公式情報を確認してください。
