🕓 2024/11/30
#温泉
熱海温泉の歴史や概要を詳しく解説
目次
はじめに
熱海温泉は、長い歴史と豊かな自然が織りなす日本屈指の温泉地です。温泉街には昭和の雰囲気が色濃く残るレトロな街並みが広がり、地元の特産品を味わいながらの食べ歩きや、風情ある宿泊体験が楽しめます。また、観光スポットも多岐にわたり、歴史を感じられる神社や庭園、現代的な美術館やリゾート施設まで、訪れる人々に多彩な楽しみを提供します。
この記事では、熱海温泉の特徴や歴史に触れながら、ぜひ訪れてほしい観光スポットを詳しくご紹介します。それでは、熱海温泉の世界へご案内します!
1. 熱海温泉とは?
熱海温泉は、静岡県熱海市に位置する日本有数の温泉地であり、別府温泉、伊東温泉とともに「日本三大温泉場」の一つとされています。温泉街は、昭和の雰囲気を色濃く残すレトロな街並みが特徴で、訪れる人々に懐かしさと新鮮さを同時に感じさせます。特に、平和通り商店街や仲見世通り商店街では、昔ながらの建物が立ち並び、昭和の面影を感じることができます。これらの商店街では、地元の新鮮な海産物や特産品を使ったグルメが楽しめ、食べ歩きが人気のアクティビティとなっています。
歴史は古く、伊豆風土記(713年)には「天孫降臨に先立って大己貴命が秋津の国の民の若死にを憂い、少彦名命に製薬温泉の術を授け、伊豆国の神の湯に遣わされた」との記述があり、これが熱海温泉の起源とされています。江戸時代には徳川家康が1604年に湯治のために訪れ、その後、江戸城に熱海の温泉を運ばせたことから、多くの大名や文化人が熱海温泉を利用するようになりました。
熱海温泉は、総源泉数が500本以上あり、毎分約20,000リットルの豊富な湯量を誇ります。泉質は主にナトリウム・カルシウム―塩化物温泉で、全体の約80%を占めています。また、源泉の約9割が42度以上の高温泉で、平均温度は約63度に達し、全国屈指の高温泉リゾートとして知られています。熱海温泉の湯は無色透明で、保温効果が高く、美肌効果も期待できます。 泉質により、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病などに効果があるとされています。
「熱海七湯」と呼ばれる7つの源泉があり、江戸時代から親しまれてきました。 これらは「大湯」、「野中の湯」、「小沢の湯」、「風呂の湯」、「目の湯」、「清左右衛門の湯」、「河原湯」で、現在は観光資源として復元されています。熱海温泉は、相模灘に面した美しい海岸線と豊かな自然環境に恵まれ、温泉街には多くの旅館やホテルが立ち並びます。 また、熱海駅は伊東線の始発駅で、東京から新幹線で約50分とアクセスも良好で、首都圏からの観光客にとって人気の温泉地となっています。さらに、年間を通じて花火大会などのイベントが開催され、多くの観光客で賑わいます。
2. 熱海温泉の歴史
熱海温泉は、静岡県熱海市に位置する日本有数の温泉地であり、その歴史は古代から現代に至るまで多くの重要な出来事によって形作られてきました。以下に、主要な出来事を西暦順にまとめます。
1. 713年:『伊豆国風土記』の記述
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『伊豆国風土記』は、奈良時代に編纂された地誌で、伊豆国の地理、産物、伝承などが記されています。その中で、熱海温泉に関する伝承が紹介されています。大己貴命(おおなむちのみこと)が、秋津の国(日本)の人々が若くして亡くなることを憂い、少彦名命(すくなひこなのみこと)に薬や温泉の技術を授け、伊豆国の神の湯に遣わしたとされています。
この「神の湯」が熱海温泉であると伝えられ、これが熱海温泉の起源とされています。この伝承は、温泉が古代から人々の健康や治療に利用されてきたことを示しています。
2. 1604年:徳川家康の訪問
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江戸時代初期、徳川家康は健康増進と療養を目的として各地の温泉を訪れました。1604年(慶長9年)3月、家康は京都への途上で熱海温泉に立ち寄り、7日間にわたり湯治を行いました。この際、家康は息子である義直(五郎太丸)と頼宣(長福丸)を伴っており、親子で温泉療養を行ったと伝えられています。家康は熱海の湯を非常に気に入り、同年7月には病気療養中の岩国藩主・吉川広家への見舞いとして、熱海の温泉5桶を京都の伏見まで送り届けました。
これを契機に、熱海の温泉が江戸城に定期的に運ばれるようになり、「御汲湯(おくみゆ)」と呼ばれるこの習慣は、4代将軍家綱の時代から始まりました。享保年間(1716年~1736年)には、8代将軍吉宗の命により、9年間で3,643樽もの温泉が江戸城に運ばれた記録が残っています。
3. 1666年:庶民のための浴室「河原湯」の整備
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寛文6年(1666年)、小田原城主であった稲葉美濃守が、熱海村の農民や漁師などの庶民のために浴室を設けました。当時、「大湯」の源泉は主に湯治客が利用し、他の源泉も限られた家のみが使用を許されていました。そのため、地元の村人たちが自由に利用できる温泉は「河原湯」だけであり、貴重な入浴場として親しまれていました。
この浴室は屋根が瓦葺きであったことから「瓦湯」とも呼ばれました。河原湯の湯は、冷え性や神経痛、リューマチなどに効能があり、塩分を多く含み、人が入ると透明な湯が白く濁ると伝えられています。
4. 1923年:関東大震災による影響
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大正12年(1923年)9月1日に発生した関東大震災は、熱海温泉にも大きな影響を及ぼしました。この地震により、熱海市は津波被害を中心に壊滅的な被害を受けましたが、逆に大湯間欠泉をはじめとする源泉の湧出量は一時的に急増し、湯を利用せずに海に流すほどでした。
しかし、半年も過ぎると再び湧出量が減少し始め、不安定な状況が続きました。この事態を受け、温泉関係者は「熱海温泉組合」を組織し、源泉の管理・調整を行う体制を整備しました。
5. 1962年:大湯間欠泉の人工的な復元
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昭和37年(1962年)、かつて世界の三大間欠泉の一つに数えられた大湯間欠泉の往時の姿を再現し、文化財として保存するための工事が行われました。この工事により、8時から19時の間に温泉を人工的に「4分ごとに3分間噴湯」させる仕様に設定されました。これにより、大湯間欠泉は再び熱海温泉のシンボルとして、多くの観光客を魅了する存在となりました。
6. 1964年〜現代
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1964年(昭和39年)10月1日、東海道新幹線が開通し、熱海駅が停車駅となりました。これにより、東京や大阪などの大都市から熱海へのアクセスが飛躍的に向上し、観光客の増加に大きく寄与しました。1980年代後半のバブル経済期、熱海温泉は企業の保養所や大型リゾート施設の建設が相次ぎ、観光地としての繁栄を極めました。この時期、多くの観光客が訪れ、温泉街は活況を呈しました。しかし、バブル崩壊後の1990年代には観光客が減少し、経済的な打撃を受けることとなりました。
2000年代に入ると、熱海市は観光地としての再生を目指し、さまざまな取り組みを開始しました。歴史的建造物の保存や温泉街の景観整備、イベントの開催などを通じて、新たな観光資源の開発と魅力の向上に努めました。
3. 熱海温泉の見どころ
熱海温泉は、豊かな自然と歴史的な魅力を併せ持つ温泉地で、多くの見どころがあります。以下に、訪れるべき主要なスポットを詳しくご紹介します。
■ 熱海サンビーチ
熱海サンビーチは、熱海市の中心部に位置する人工の白砂ビーチで、全長約400メートルの美しい海岸線を持ちます。夏季には多くの海水浴客で賑わい、家族連れやカップルに人気のスポットです。特に、夜間には「ムーンライトビーチ」としてライトアップされ、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。このライトアップは、毎日の日没から22時まで行われており、海辺の散策やロマンチックなひとときを過ごすのに最適です。
ビーチ沿いにはカフェやレストランが点在し、海を眺めながらの食事や休憩を楽しむことができます。また、ビーチ周辺では年間を通じて花火大会などのイベントが開催され、多くの観光客で賑わいます。
■ MOA美術館
MOA美術館は、1982年に開館した私立美術館で、東洋美術を中心に約3,500点の美術品を所蔵しています。特に、尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」は代表的な収蔵品として知られています。館内は、日本の伝統的な素材と現代的なデザインが融合した優美な空間が広がり、訪れる人々を魅了します。また、館内からは相模湾の美しい景色を一望でき、芸術鑑賞と自然美を同時に楽しむことができます。
さらに、茶室「一白庵」や能楽堂などの施設も併設されており、日本文化を深く体験することができます。美術館内のカフェやレストランでは、地元の食材を活かした料理やスイーツを提供しており、訪問者にとって特別なひとときを演出します。
■ 來宮神社
來宮神社は、1900年以上の歴史を持つ古社で、来福・縁起の神として古くから信仰されています。境内には、国の天然記念物に指定された樹齢2,000年を超える大楠があり、幹周りは約24メートルに達します。この大楠の周囲を一周すると寿命が一年延びる、または願い事を秘めて一周すると願いが叶うと伝えられており、多くの参拝者が訪れます。
夜間には大楠がライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。また、境内にはおしゃれなカフェ「茶寮 報鼓」が併設されており、神社の静けさの中で特製のスイーツやお茶を楽しむことができます。
■ 熱海梅園
熱海梅園は、1886年(明治19年)に開園した歴史ある庭園で、「日本一早咲きの梅」として知られています。園内には、樹齢100年を超える古木を含む60品種・469本の梅が植えられており、毎年11月下旬から12月上旬にかけて最初の梅が開花します。
1月上旬から3月上旬にかけて開催される「梅まつり」では、早咲きから遅咲きまで順次開花する梅を楽しむことができます。また、園内には約380本のカエデ類が植えられており、11月中旬から12月上旬には「もみじまつり」が開催され、「日本一遅い紅葉」を楽しむことができます。園内には足湯や土産店もあり、訪れる人々が四季折々の自然美を堪能できるスポットです。
■ 熱海城
熱海城は、1959年(昭和34年)に観光施設として築城された城で、歴史的な城郭ではありませんが、天守閣からは熱海市街や相模湾を一望できる絶景スポットとして人気です。館内には、江戸時代の文化や歴史を紹介する展示があり、甲冑や刀剣の展示、浮世絵のギャラリーなど、歴史ファンにも楽しめる内容となっています。
また、周辺は桜の名所として知られ、特に「熱海桜」は1月中旬から2月中旬にかけて咲き誇り、春には多くの花見客で賑わいます。さらに、熱海城の地下には「熱海トリックアート迷宮館」が併設されており、家族連れにも楽しめるスポットとなっています。
■ 初島
初島は、熱海港から高速船で約30分の場所に位置する静岡県唯一の有人離島で、首都圏から最も近い離島リゾートとして人気を博しています。島内には、リゾート施設「初島アイランドリゾート」があり、グランピング施設「アジアンガーデンR-Asia」や、アスレチック施設「初島アドベンチャーSARUTOBI」など、アウトドアアクティビティを楽しむことができます。
また、漁師が経営する食堂街「島の湯」では、新鮮な海の幸を堪能でき、特に地元で獲れた魚介類を使った料理が人気です。
■ 熱海秘宝館とアタミロープウェイ
熱海秘宝館は、温泉街を見下ろす八幡山の山頂に位置する大人のための娯楽施設です。古今東西のエロスを真面目かつユーモラスに展示しており、他に類を見ないユニークなスポットとして知られています。館内は18歳未満の方は入館できません。
アクセスは、熱海港近くのアタミロープウェイ山麓駅からロープウェイに乗り、約3分半で山頂に到着します。ロープウェイのゴンドラはレトロな雰囲気で、乗車中は熱海の美しい景色を楽しむことができます。山頂の「あいじょう岬展望台」からは、相模湾や熱海市街を一望でき、特に「うみそらテラス」からの眺望は絶景です。
■ 仲見世通り商店街と平和通り商店街
熱海駅前には、昭和の雰囲気を色濃く残す「仲見世通り商店街」と「平和通り商店街」の2つの商店街があります。どちらも創業60年、70年を超える老舗が軒を連ね、地元の特産品やお土産、グルメを楽しむことができます。
・仲見世通り商店街:熱海駅から徒歩1分の場所に位置し、アーケードが設置された通りです。干物店や温泉まんじゅうの老舗、カフェなどが並び、食べ歩きやショッピングに最適です。
・平和通り商店街:仲見世通りに隣接し、こちらもアーケードが設置されています。新鮮な海産物を扱う店や地元の食材を使った飲食店、お土産店などが集まり、観光客で賑わっています。
これらの商店街では、温泉まんじゅうや干物などの地元グルメを食べ歩きしながら、昭和レトロな雰囲気を楽しむことができます。また、季節ごとのイベントやセールも開催されており、訪れるたびに新たな発見があります。
さいごに
熱海温泉は、日本有数の温泉地として、その歴史、文化、自然の美しさで訪れる人々を魅了してきました。古代から現代に至るまで、多くの人々に愛され続け、温泉だけでなく、街全体が訪れる人々を温かく迎えてくれます。昭和のレトロな雰囲気が残る商店街、四季折々の景観を楽しめる庭園、そして美しい海岸線を眺めながら過ごすひととき――どれを取っても、ここでしか味わえない特別な体験です。
忙しい日常を離れ、心と体を癒やす旅先として、熱海温泉をぜひ訪れてみてください。