🕓 2025/3/15
#文化
歌舞伎の歴史や体験を詳しく解説
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目次
はじめに
歌舞伎は、日本が誇る伝統芸能のひとつであり、400年以上にわたり受け継がれてきた独自の演劇形式です。華やかな衣装や独特の化粧、ダイナミックな舞台演出が特徴で、観客を圧倒する圧巻のパフォーマンスが繰り広げられます。
歌舞伎は単なる演劇ではなく、日本の歴史や文化、価値観を映し出す鏡のような存在です。その物語には、勇壮な武士の活躍、庶民の暮らし、儚い恋愛、因縁に満ちた復讐劇など、多彩なテーマが描かれています。この記事では、歌舞伎の基本からその歴史、舞台装置、演目の種類、さらには実際に体験できる場所まで、歌舞伎の魅力を余すことなくお伝えします。
1. 歌舞伎とは何か?
歌舞伎(かぶき)は、日本の伝統的な演劇形式で、歌(音楽)、舞(舞踊)、伎(演技)の三要素から成り立っています。その起源は1603年に遡り、出雲大社の巫女であった出雲の阿国(いずものおくに)が京都の北野天満宮で、念仏踊りを基にした舞踊や喜劇的な演目を披露したことに始まります。彼女の革新的な演技は、「傾く(かぶく)」という言葉に由来し、当時の流行や奇抜さを象徴するものとして「歌舞伎」と呼ばれるようになりました。
当初、歌舞伎は女性が演じる「女歌舞伎」が主流でしたが、演者が売春に関与するなどの問題から1629年に禁止されました。その後、若い男性が演じる「若衆歌舞伎」が登場しましたが、こちらも同様の理由で1652年に禁止されました。これらの禁止措置を経て、成人男性のみが演じる「野郎歌舞伎」が確立し、現在の歌舞伎の基礎が築かれることになりました。
歌舞伎の演目は、大きく三つのジャンルに分類されます。まず、歴史上の出来事や人物を題材とした「時代物(じだいもの)」、江戸時代の庶民の生活や恋愛を描いた「世話物(せわもの)」、そして舞踊を中心とした「所作事(しょさごと)」です。
歌舞伎の舞台には、「花道(はなみち)」と呼ばれる通路があり、俳優が登場や退場の際に用います。また、感情の高まりを表現するために取る独特のポーズ「見得(みえ)」も特徴的な演出の一つです。さらに、舞台装置として回り舞台やセリ(昇降装置)などが導入され、視覚的な演出が強化されています。
現代においても歌舞伎は多くの支持を集めており、東京の歌舞伎座、京都の南座、大阪の松竹座といった有名な劇場で上演されています。2005年にはユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」に認定され、2008年には「無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録されるなど、その文化的価値は国際的にも認められています。
2. 歌舞伎の歴史
歌舞伎は、日本の伝統的な演劇形式で、歌(音楽)、舞(舞踊)、伎(演技)の三要素から成り立っています。その起源と発展の歴史は以下の通りです。
1. 起源と初期の発展
歌舞伎の起源は、1603年に出雲大社の巫女であった出雲の阿国が京都の北野天満宮で念仏踊りを基にした舞踊や喜劇的な演目を披露したことに始まります。彼女の革新的な演技は「傾く(かぶく)」、すなわち当時の流行や奇抜さを意味する言葉から「歌舞伎」と呼ばれるようになりました。
当初は女性が演じる「女歌舞伎」が主流でしたが、演者が売春に関与するなどの問題から1629年に禁止されました。その後、若い男性が演じる「若衆歌舞伎」が登場しましたが、同様の理由で1652年に禁止されました。これらの禁止を経て、成人男性のみが演じる「野郎歌舞伎」が確立し、現在の歌舞伎の基礎が築かれました。
2. 元禄時代の隆盛(1688年~1704年)
元禄時代には、歌舞伎は大きな発展を遂げました。この時期、初代市川團十郎が荒事を得意とし、初代坂田藤十郎は和事の名手として活躍しました。また、近松門左衛門の作品が上演されるなど、劇作の面でも充実していました。
3. 江戸時代中期から後期の展開(18世紀~19世紀)
18世紀には、歌舞伎の舞台装置が進化し、回り舞台やセリ(昇降装置)が導入され、視覚的な演出が強化されました。また、三大歌舞伎と称される『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』がこの時期に初演されました。19世紀初頭には、四代目鶴屋南北や二代目河竹新七(黙阿弥)などの劇作家が活躍し、作品の多様性が広がりました。
4. 明治時代以降の変遷(1868年~)
明治維新以降、西洋文化の流入により、歌舞伎は新たな挑戦を迎えました。演劇改良運動が起こり、リアリズムの導入や新作歌舞伎の創作が進められました。第二次世界大戦後、歌舞伎は再評価され、1965年には重要無形文化財に指定されました。2005年にはユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」に、2008年には「無形文化遺産」に登録され、世界的な評価を受けています。
3. 歌舞伎の道具
・ 廻り舞台(まわりぶたい):
舞台中央部に設置された円形の回転装置で、舞台上のセットや俳優を乗せたまま場面転換を行います。この装置により、観客に幕を閉じることなくシームレスな場面転換を提供します。廻り舞台は享保年間(1716年~1736年)に導入され、歌舞伎の舞台演出に革新をもたらしました。
・セリ:
舞台の床板が上下に動く昇降装置で、俳優や大道具の出現・退場に使用されます。セリの導入により、舞台上の垂直方向の動きが可能となり、演出の幅が広がりました。この装置も享保年間に導入され、廻り舞台とともに歌舞伎の立体的な舞台表現を支えています。
・花道(はなみち):
舞台の下手側から観客席を貫いて舞台につながる通路で、主要な役者の登場や退場に使用されます。花道は、観客との距離を縮め、臨場感を高める役割を果たしています。また、特定の場面では川や海、空中などを表現する場所としても機能します。
・黒御簾(くろみす)と床(ゆか):
舞台の下手に位置する黒御簾は、演技に合わせて長唄や三味線、太鼓などの音楽や効果音を演出する場所です。一方、上手に位置する床では、義太夫節が演奏され、物語性のある美しい三味線の伴奏が舞台を豊かにします。これらの音楽演出は、歌舞伎の情緒や雰囲気を高める重要な要素となっています。
・がんどう返し(どんでん返し):
舞台装置の一部が後ろに倒れ、次の場面の背景が現れる大規模な仕掛けです。大道具全体を90度倒すことで、次のシーンへの移行を滑らかにし、観客に驚きを提供します。この装置は、劇的な場面転換を可能にし、物語の展開にダイナミズムを加えます。
4. 歌舞伎の種類
歌舞伎は、その演目の内容やテーマに応じて大きく「時代物(じだいもの)」と「世話物(せわもの)」の二つのカテゴリーに分類されます。これらはそれぞれ異なる特徴と歴史的背景を持ち、歌舞伎の多様性を形成しています。
・時代物(じだいもの):
時代物は、江戸時代以前の歴史的な出来事や人物を題材とした作品群を指します。具体的には、平安、鎌倉、室町時代などを舞台に、武士や貴族の物語が描かれます。これらの作品では、歴史的事件や伝説が題材となり、観客にとって馴染み深い「世界(せかい)」と呼ばれる設定が用いられます。
例えば、「曾我物」「義経物」「忠臣蔵物」などが挙げられます。これらの作品は、観客が既に知っている物語や背景を基にしているため、物語の理解が容易であり、物語の展開や演出に自由度が生まれます。
・世話物(せわもの):
・明治時代以降の変遷:
明治時代に入ると、日本は急速な近代化と西洋化の波にさらされ、歌舞伎もその影響を受けました。この時期、時代物と世話物の双方に変化が生じました。時代物では、歴史的・時代考証に基づいた作品が求められるようになり、「活歴物(かつれきもの)」と呼ばれる新しいジャンルが登場しました。
しかし、これらの作品は従来の歌舞伎の様式美や演出スタイルとは異なるため、観客からの支持を得るのは容易ではありませんでした。一方、世話物では、明治時代の新しい風俗や社会状況を取り入れた「散切物(ざんぎりもの)」と呼ばれる作品が生まれました。これらの作品は、当時の社会の変化や人々の生活をリアルに描写し、観客の共感を呼びました。
さらに、明治時代後期から昭和初期にかけて、劇文学としての戯曲作家が登場し、「新歌舞伎」と呼ばれる作品群が確立されていきました。これらの作品は、従来の歌舞伎の形式にとらわれず、現代的なテーマや新しい演出を取り入れることで、歌舞伎の表現の幅を広げました。このように、時代物と世話物は、それぞれの時代背景や社会状況に応じて進化し、歌舞伎の多様性と豊かさを支えてきました。
5. 歌舞伎を体験、体感できるところ
日本には多くの歌舞伎を鑑賞できる劇場が存在し、特に東京の歌舞伎座や京都の南座は有名です。これらの劇場では、伝統的な歌舞伎を現代に伝える貴重な体験をすることができます。
1、歌舞伎座(東京・銀座):
・1889年に開場した伝統ある歌舞伎専用の劇場です。
・歌舞伎だけでなく、様々な公演が行われています。
・地震や戦争などを経て、現在の建物は5代目です。
・住所:東京都中央区銀座4-12-15
・公式サイト:www.kabuki-za.co.jp
2、新橋演舞場(東京・新橋):
・1925年に開場した、東京・新橋にある演舞場です。
・歌舞伎だけでなく、スーパー歌舞伎やコンサートも行われます。
・住所:東京都中央区銀座6-18-2
・公式サイト:www.shochiku.co.jp
3、浅草公会堂(東京・浅草):
・歌舞伎や園芸、コンサート、漫才などが行われる公会堂です。
・年末年始と1月は新春浅草歌舞伎が開催されます。
・住所:東京都台東区浅草1-38-6
・公式サイト:asakusa-koukaidou.net