伏見稲荷大社について|歴史や概要を詳しく解説

🕓 2024/6/01
#文化

伏見稲荷大社の歴史や概要を詳しく解説

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 目次

  1. 伏見稲荷大社の概要
  2. 伏見稲荷大社の歴史
  3. 伏見稲荷大社の見どころ


はじめに

本記事では、伏見稲荷大社の概要、歴史、そして見どころについて詳しく紹介します。伏見稲荷大社は、京都市伏見区に位置する全国に約3万社ある稲荷神社の総本宮であり、その美しい千本鳥居と豊かな歴史背景から、多くの参拝者や観光客を魅了し続けています。本記事を通じて、伏見稲荷大社の魅力を存分に感じていただき、実際に訪れる際の参考にしていただければ幸いです。

 

 

1. 伏見稲荷大社の概要

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伏見稲荷大社は、京都市伏見区に位置する神社で、全国に約3万社ある稲荷神社の総本宮です。日本国内外から訪れる観光客にとって人気のスポットであり、特にその美しく壮大な鳥居のトンネルと歴史的な背景から、多くの参拝者や観光客を魅了し続けています。稲荷信仰の中心として、商売繁盛、五穀豊穣、家内安全などのご利益があるとされています。



歴史は古く、奈良時代の711年に創建されたとされています。創建当初から、稲荷山の三つの峰を神として崇め、山の麓に本殿が建立されました。この神社は、特に商業の神として広く信仰され、多くの商人や企業からの崇敬を集めています。

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最大の特徴は、千本鳥居と呼ばれる朱色の鳥居が連なるトンネルです。この鳥居は、参拝者や企業からの奉納によって建てられたもので、神社の参道や山中の道を彩っています。鳥居の総数は約1万基を超えると言われ、訪れる人々を圧倒する光景を作り出しています。

境内は広大で、稲荷山全体が神域とされています。参拝者は本殿から山頂に向かって続く参道を歩きながら、途中に点在する小さな社や鳥居を巡ることができます。奥社奉拝所までは、往復約2時間のハイキングコースとなっており、途中の四ツ辻からは京都市内の美しい景色を一望できます。また、参道沿いには茶店やお土産屋もあり、参拝とともに楽しむことができます。

伏見稲荷大社へは、JR奈良線の稲荷駅から徒歩すぐの場所にあり、京都市内からもアクセスしやすい立地です。京阪電車の伏見稲荷駅からも徒歩5分ほどで到着します。訪れる際には、ぜひ千本鳥居を通り、稲荷山を巡りながらその魅力を体感してください​。



 

 

 

2. 伏見稲荷大社の歴史

奈良時代(710年~794年)

伏見稲荷大社の創建は奈良時代に遡ります。711年(和銅4年)、伊侶巨秦公が稲荷山の三つの峰の一つに稲荷大神を祀ったことが始まりとされています。創建にまつわる伝説では、秦伊呂具が餅を的にして矢を射ったところ、餅が白鳥に変わり飛び去り、その白鳥が舞い降りた場所に稲が生えたことから、その地に社を建てたと伝えられています。

 

平安時代(794年~1185年)

稲荷神社は「稲荷」として広く知られるようになりました。この時代、稲荷大神は東南の福神として信仰され、特に827年(天長4年)に淳和天皇が病に倒れた際に、稲荷山の神木を切ったことで祟られたとして稲荷大神に謝罪し、神階を授けました。この出来事を契機に、伏見稲荷大社の信仰は急速に広がり、942年(天慶5年)には神階の最高位である「正一位」に達しました。

 

室町時代(1336年~1573年)

室町時代に入ると、伏見稲荷大社はさらに発展を遂げます。しかし、1467年に始まった応仁の乱によって社殿の多くが焼失しました。その後、稲荷勧進僧による布教活動などにより、1499年(明応8年)には本殿を含む社殿が再建されました。

 

安土桃山時代(1573年~1603年)

1588年(天正16年)、関白・豊臣秀吉が母の病気回復を祈願し、その翌年に楼門を再建しました。この時代には、豊臣家の影響力もあり、伏見稲荷大社はさらなる信仰を集めました。

 

江戸時代(1603年~1868年)

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江戸時代には、稲荷信仰が幕府や庶民の間で広まりました。特に江戸幕府老中・田沼意次の影響で、稲荷神を祀る習慣が広がり、庶民の間でも稲荷信仰が発展しました。この時代には、千本鳥居の奉納が盛んに行われ、多くの参拝者が訪れるようになりました。

 

明治時代以降(1868年~)

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明治時代に入ると、神仏分離令や廃仏毀釈により、境内の仏教寺院や仏像が廃されました。しかし、伏見稲荷大社はその後も多くの信仰を集め続け、2011年には創建1300年を迎えました。



伏見稲荷大社は、古代から現代に至るまで、多くの人々の信仰を集め続ける重要な神社であり、歴史的・文化的価値が高い場所です。訪れる際には、その豊かな歴史を感じながら参拝してみてください

 

 

 

 

3. 伏見稲荷大社の見どころ

伏見稲荷大社は、その美しい景観と豊かな歴史から、多くの参拝者や観光客を魅了し続けています。訪れる際には、これらの見どころを巡りながら、神聖な雰囲気と自然の美しさを存分に楽しんでください。

千本鳥居

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伏見稲荷大社を象徴する見どころの一つです。参道に連なる無数の朱色の鳥居は、圧巻の光景を作り出しています。これらの鳥居は、信者や企業からの奉納によって建てられたもので、江戸時代から続く伝統です。朱色は生命力や大地の力を象徴しており、参拝者がこの鳥居をくぐり抜けていくことで、神聖なエネルギーを感じることができます。

 

おもかる石

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伏見稲荷大社の「おもかる石」は、奥社奉拝所にある一対の石灯籠の上に乗っている宝珠石のことを指します。この石は参拝者が願い事を心に念じながら持ち上げることで、その願いが叶うかどうかを占う試し石です。具体的には、石を持ち上げた際に予想していたよりも軽く感じられれば願いが叶うとされ、逆に重く感じられれば願いの成就が難しいとされています。

おもかる石を持ち上げる前には、心静かに願い事を念じ、持ち上げる際の感覚を大切にすることが重要です。また、石の重さは実際の重量とは関係なく、願いを込める際の心の状態や集中力によって感じる重さが変わると言われています。

 

楼門

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豊臣秀吉が母親である大政所の病気平癒を祈願して寄進したもので、1589年に再建されました。この楼門は和様の意匠が施されており、その壮麗なデザインが特徴です。楼門は伏見稲荷大社の正門として、多くの参拝者を迎え入れます。

楼門の構造は「三間一戸楼門」と呼ばれ、入母屋造で檜皮葺となっています。この門は朱色に塗られており、周囲の風景と調和しつつも非常に目立つ存在です。豊臣秀吉が奉納した際の「命乞いの願文」には、もし母の病気が治れば一万石を奉納するとの内容が記されています。実際に病気が平癒した後、秀吉はその約束を果たし、楼門を寄進しました。

 

本殿

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伏見稲荷大社の本殿は、稲荷大神を祀る主要な社殿で、1499年に再建されました。建築様式は「流造(ながれづくり)」と呼ばれ、檜皮葺の屋根が特徴的です。流造は日本の神社建築において一般的なスタイルで、屋根が長く伸びているため、雨水が境内に溜まりにくい設計となっています。

本殿の前には内拝殿と外拝殿があり、参拝者はここで祈りを捧げます。内拝殿は直接神前に立つことができる場所で、外拝殿は祭礼などの行事が行われる広いスペースです。これらの構造により、多くの参拝者が一度に訪れてもスムーズに参拝できるようになっています。

建築は、安土桃山時代の華やかな装飾と意匠が施されており、その豪華な造りは見る者を魅了します。特に柱や梁の装飾は非常に精緻で、職人技の粋が集められています。この豪華な造りが、本殿を重要文化財に指定する要因の一つとなっています。

 

一ノ峰(上社神蹟)

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伏見稲荷大社の稲荷山の最高峰に位置し、末広大神が祀られている神聖な場所です。標高233メートルの山頂にあり、参拝者は「お山めぐり」と呼ばれる参道を通ってこの地に到達します。お山めぐりは、参拝者が伏見稲荷大社の境内を巡りながら山頂を目指す伝統的な参拝方法です。途中には数多くの鳥居が立ち並び、四ツ辻などの休憩スポットを経て一ノ峰に到達します。この道のりは、稲荷信仰の中心地を巡ることで信仰心を深める体験となります。

一ノ峰に到達すると、京都市内の美しい景色が一望できます。この眺望は、参拝者にとって大きな魅力の一つです。また、一ノ峰には「末広大神」が祀られており、参拝者はここで祈りを捧げ、願いの成就を祈ります。

 

お奥の院(奥社奉拝所)

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千本鳥居を抜けた先に位置し、稲荷山を遥拝するための重要な場所です。奥社奉拝所は、稲荷山の登山の出発点ともなっており、「お山めぐり」として知られる参拝ルートの始まりでもあります。お山めぐりは、稲荷山の三つの峰を巡りながら参拝する伝統的な方法で、信仰心を深めるための重要な体験です。参拝ルートには多数の小さな社や祠が点在しており、それぞれに異なる神様が祀られています。

 

 

 

 

さいごに

伏見稲荷大社は、奈良時代に創建されて以来、商売繁盛や五穀豊穣などのご利益を求める多くの人々の信仰を集め続けている重要な神社です。千本鳥居やおもかる石、楼門、本殿、一ノ峰、奥の院など、数々の見どころがあり、訪れる人々を魅了します。その美しい景観と豊かな歴史は、日本国内外からの参拝者や観光客にとって特別な体験を提供しています。

この記事を通じて、伏見稲荷大社の魅力を少しでも感じていただき、実際に訪れる際の参考にしていただければ幸いです。歴史と文化が織り成す神聖な空間を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。